転勤や異動する場合の不動産の売却

「現在46才の会社員ですが、先日転勤が決まり、家族も一緒に引越しするため自宅を手放そうか迷っています。そこで、売却する場合の注意点や売却以外に考えられる方法などありましたら教えて下さい。ちなみに、住宅ローンはまだ15年ほど残っています。」

このように転勤による自宅の取り扱いは、仕事の引継ぎや引越し準備などもあって、あまり時間が無いなかで行わなければなりません。ここでは「転勤にあたり、自宅をどうすべきか」「誰に何をお願いすれば良いのか」などについて、ポイントを絞って説明して行きます。

転居する場合は、住宅ローンを一括返済しなければならないのか

これについては、必ず返済しなければならないという決まりはありません。ただ、転勤先では、新居を購入するか賃貸住宅を借りなければなりません。すると、旧宅のローンと転居先の支払いとで二重の負担が生じるため、旧宅を売却する選択をしてローンを一括返済することを考えます。

その時、ローンが全額返済できれば良いのですが、思ったよりも低い価格での売却となれば、売った金額だけでローンが完済できないことになります。そうなると自己資金を持ち出すか、または資金不足で売却計画を断念せざるを得ないことになりますので、売却計画はしっかり立てなければなりません。

売却せずに「賃貸する」という選択肢もある

賃料相場にもよりますが、家賃と旧宅ローンを相殺してもプラスになる場合がありますし、悪くてもその補てんにはなるはずです。

また、転勤先から戻ってくる時期が決まっていたり、将来的にまた住むことを考えているのであれば、「定期借家契約」という期間限定の賃貸借制度を利用すれば「自宅に戻りたいのに何年も待つことになる」などという心配もいりません。

賃貸する際の注意点として、勤務先から転勤する旨の証明書を入手して、金融機関に提出する必要があります。なぜかと言うと、住宅ローンは自宅用として融資するものなので、賃貸するにはそれなりの理由が必要となります。

転勤は賃貸するのに十分な理由となりますが、もし提出しないままで、賃貸の事実が発覚した場合、一括返済を求められることがありますので、忘れずに提出するようにします。

売却の方向で検討する場合、どのような手順で進めるのか

まずは、複数の不動産会社に相談・査定してもらいます。査定額が高いことはもちろんですが、転勤で忙しいあなたに代わって動いてもらわなければなりませんので、売主の手足になってくれるような業者を選ぶようにしましょう。依頼する業者が決まれば、販売活動に入ります。

購入希望者が現われたら、様々な条件交渉などを経て売買契約となります。売買契約では、契約書類への記名・押印、手付金の受け取り、必要書類の提出などを行います。その後、契約から1~2ヶ月後に引渡となります。通常、引渡しは金融機関で行います。

内容としては、売却代金の受取りや登記関係の書類に記入・押印、税金の精算、そして鍵の引渡しとなります。事前に業者や司法書士と打ち合わせておくとスムーズに進められます。媒介契約から引渡しまでおおよそ、2~5ヶ月程度と想定しておくと良いでしょう。

確実に売却するなら「買取」という選択肢もあるが、「仲介」とは何が違うのか

業者が買主を探し、契約行為を取り持つのが「仲介」です。前述で媒介契約から引渡しまでおおよそ2~5ヶ月の想定とお話ししましたが、市場動向によってはこれよりも時間が掛かる可能性もあります。

一方、「買取」は、業者が「仲介」という立場ではなく、直接「買主」になることです。メリットとしては、契約と引渡しの時期が決められることです。これによりローンの完済時期が明確になるので、二重負担の不安が無くなります。デメリットとしては、買取金額が相場と比べてかなり低くなることです。

買い取る業者は内外装をリフォームするなどのコストを掛け、利益を計上して相場に合った価格で再販売することが目的です。そのため相場よりもかなり低い金額で買い取る必要があるのです。このように、買取は「期間のメリット」を享受できる反面、「金額」のデメリットが存在することを認識しておきましょう。

転勤先で新居を購入する場合、どのような手順で進めれば良いか

先に旧宅を売却する場合と、先に新居を購入する場合とに分けて説明して行きます。

先に旧宅を売却してから、新居を探す場合

まず手順を列記しました。

この場合は、旧宅の売却代金を受け取ってから新居の引渡しまで、若干の日数がありますので、しっかりと予定を組んでいればスムーズに運ぶはずです。今回は、社宅などに仮住まいすることを前提としています。

先に新居を購入してから、旧宅を売却する場合

同様にまず手順を列記しました。

この場合の注意点は、旧宅の引渡しが問題となります。新居の引渡しまでに売却を完了する必要があるため、やむを得ず売却金額を下げることも想定しておかなければなりません。また、期間内に売却できなければ、新居の代金を支払う時期が先に到来するため、旧宅と新居との二重のローンを抱えるリスクもあります。

従って先に購入するのに適しているのは、旧宅にローンが残っていない方や資金的に余裕のある方になります。新居の住宅ローン審査については、購入契約後すみやかに手続きをスタートし、旧宅の引渡しまでに間に合わせなければなりません。

現実的には、一旦社宅などに仮住まいし、先に旧宅を売却してから新居を購入する方が安全かと思われます。