住宅ローンを滞納している場合は、早めに売却の準備を

失業してしまい、住宅ローンと固定資産税を滞納している。この先も支払いの見込みが立たない。どうしたらいいの?

住宅ローンや固定資産税を滞納すると、経済的な信用度においてマイナスとなることが多く、お金を借りたりクレジットを利用する時の障害になりますので、できれば滞納は避けたいところです。しかし、失業などの理由でやむを得ず滞納する事態になってしまった場合、どのようなことが起こり、対処していくのかを解説していきます。

住宅ローンは何ヶ月滞納すると赤信号になるの?

住宅ローンの滞納は、1ヶ月だけならお咎めはありません。これは、単純に当月返済する分を入金し忘れた場合などを想定し、金融機関から2ヶ月まとめて引き落としされる旨の通知が届いて返済するだけです。しかしお金が不足して返済できず、2ヶ月目も滞納となった時には、督促状が郵送されてきます。

それでも返済がなければ、金融機関から呼び出しがあり、返済する意思があるかどうかや返済方法についての話し合いが持たれます。その話し合いが決裂した時に「赤信号」となってしまいます。住宅ローン1回分の返済額は人によっては十数万円にもなり、2ヶ月以上滞納した場合は、金額が大きくなり返済が困難になります。

ですから現実的には2ヶ月分滞納が「赤信号」ということになるのです。

就業できず返済の見込みが立たない。滞納し続けるとどんな処分があるの?

そのまま何もしなければ裁判所によって「競売」の手続きに入ってしまいます。しかし、競売は自分の意思が尊重されず、加えて相当に低い金額で売買されることから、自分の意思により相場に近い金額で売却する「任意売却」を目指す選択肢もあります。

まず、競売について簡単に説明します。

金融機関との話し合いが決裂した後、金融機関はローン滞納者の保証人となっている保証会社に対し、代わりに返済(=代位弁済)するよう要求します。この代位弁済がなされると、保証会社は滞納者に対して「全額一括返済」を要求することになります。

その後、滞納者が勝手に不動産の名義を変更できないよう「差押」という権利を行使します。この時点で、いわゆる「ブラックリスト」に載り、以後お金を借りたりクレジットカードを利用することが難しくなり、大変なハンデを背負うことになります。

その後、裁判所によって競売される不動産の情報が公開されますが、残っているローンの金額よりも低く、加えて相場よりも相当に低い金額で購入希望者が募集されます。そして金額を提示する(=入札)際に、一番高い金額を提示した者(落札者)が物件の次の権利者となります。そうなれば滞納者が物件に居座る権利は無いですから、立退きしなければなりません。

次に、任意売却について説明します。

任意売却は、法的な手続きに精通している専門業者に依頼するのが望ましいでしょう。その専門業者は、競売手続きにおける「代位弁済」がなされてから、競売による入札の結果(開札)までに、任意売却のすべての手続きを完了させなければなりません。

まず物件調査を行い、金融機関に任意売却の主旨を伝え、物件の売り出しを開始します。そして購入希望者を探し出して売買契約を締結します。他にも、債権者に担保を解除してもらう交渉や、保証会社に競売取下げの交渉もしなければなりません。

その後、売却代金を回収し債権者にローンの全部または一部返済して任意売却の完了となります。ここまでの業務を約2ヶ月~6ヶ月という短期間で行わなければならないのが任意売却の最も重要なポイントです。

競売や任意売却してもローンは消えないの?だとしたら自己破産しか無いのでは?

競売や任意売却してもローンを全額返済できず、一部でも残ればローンが消えたことにはなりません。金融機関と協議し、分割などで返済する義務を負い続けることになります。

もちろん、競売や任意売却によって相当額を返済しましたから、返済額は少なくなっており、依然と比べ負担は軽くなっているはずですので、なんとか完済して「破産」を免れるよう努力すべきでしょう。

しかし、軽くなったローンも返済できない状況であれば、自己破産を選択せざるを得ないでしょう。なお、自己破産の情報が消滅するのは5年ですが、カード会社などでは半永久的に情報を保管し、多くの会社がカードの利用を制限しています。

競売や任意売却は価格が低くなるから不利なのか?通常の売却なら高値で売れるのでは?

確かに、通常の売却はいわゆる「相場」での売却ですから、競売の心理的不利性や任意売却の期限を考慮すれば、高値で売ることもできます。

しかし、そもそも競売という期限が迫っているなかでの売却ですので、通常売却によって相場で売りに出しても、期限までに買主が現れなければ、競売・立退きという危険を伴うことになります。それでも、なんとか相場による通常売却をしたいのであれば、返済の見通しが危うい時点で、不動産会社に通常売却の依頼をします。

前述の通り、通常売却は「未発見の買主」を探すところから始めるので、時間が掛かることを想定してできる限り早急に準備することが必要になります。