相続した不動産の売却

親などの死亡によって、血縁者などが財産を譲り受けることを「相続」と言います。相続が発生すると財産の名義を変更したり、相続税を支払わなければなりません。さらに売却するとなれば他の税金も掛かってきたりします。また、譲り受ける人(以下、相続人と言う)が複数いる場合は手続きが複雑になります。

それらの内容について詳しく説明していきます。

相続→売却の際に支払う税金にはどんなものがあるの?

手続きの順番で言うと、まずは「相続税」です。これは売却するしないに関わらず必ず行う手続きで、相続を知った日(亡くなったことを知った日)の翌日から10ヶ月以内に「相続税の申告」と「相続税の納税」をする必要があります。

その際、注意すべき事項が2点あります。1点目は「相続税がゼロの場合」でも申告は必要となります。2点目は「家の売却が完了していない(=遺産分割が確定していない)」ために、各相続人が相続税をいくら負担するのか確定していない時の処理です。

この場合は、「法定相続分」という民法上の規定に従って一旦納税し、売却完了後に、実際に売却した金額をもとに更正(修正)請求します。

次は「譲渡所得税」です。これは通常の不動産売却において、売却益が出た場合に課せられる税金です。相続財産を売却する場合は、覚えておかなければならない「期間」があります。

それは、売却が「相続を知った日の翌日から3年10ヶ月以内」に完了していれば、すでに支払った相続税を売却に掛かった経費として、売却利益から控除して申告することができるというものです。

ちなみに譲渡所得税を算出する際に、その家の「取得費」を記載しなければなりませんが、先祖代々受け継いだ土地の取得費は調べるのが難しいので、売却代金の5%を「概算取得費」として算出することとなっています。

かなり古い家だけど、値段がつくのかな?

相続した家の痛みが激しい場合でも、土地部分の値段は残ります。しかし別途で解体費用を負担しなければなりません。一方、相続した財産が築年数の古いマンションの場合、売却には時間を要しますが、内装に手を入れて価格を下げれば、売却の可能性は高くなります。

このように、古い物件の売却は、多少のお金を掛けじっくり腰を据えて臨むようにしましょう。

相続した家にローンが残っている。どうしたらいい?

借金も相続の対象になりますが、売却というプラスの財産よりもローン残債などのマイナス財産の方が多い場合には、「相続放棄」という相続の権利自体を放棄することもできます。また、「限定承認」と言ってプラスの財産の中から債務を清算することもできます。

自宅購入の際に住宅ローンを組んだ人は、通常、住宅ローンの契約と一緒に「団体信用生命保険」に加入します。団体信用生命保険は、ローンの債務者が返済中に死亡(または高度の障害状態)した場合、残債が帳消しになります。そのため、相続人は借金のない自宅を相続することができる訳です。

相続から売却完了までの大まかなスケジュールを知りたい!

相続が発生したら、何よりもまず司法書士など「権利関係を扱う専門家」に相談しましょう。相続人が一人だけなら、専門家に依頼して「相続登記」をしてもらいます。もし、相続人が複数人いる場合は、あらかじめ相続人全員で相談する機会を持ち、後でもめ事にならないよう相続財産の「分配法」や「金額」などを決める必要があります。

この相談の場を「遺産分割協議」と言い、協議で決定した内容を記載した書面を「遺産分割協議書」と言います。そして、遺産分割協議書で指定した「相続人代表者」に、相続財産の名義を変更する「相続登記」を司法書士などの専門家に依頼します。

この相続登記が完了しなければ、財産を売却することができません。そのため、各相続人に協力してもらい、できるだけ早期に相続登記を完了させましょう。相続登記が完了したら、相続税の申告をします。手順・方法については前述の通りです。

その後、不動産会社を選び売却活動をしてもらいますが、この時の「売主」になるのは「相続人代表者」です。さて、売却交渉がまとまり、売却契約と引渡しを終えたら、「遺産分割協議書」に基づいて財産の分配を行います。ちなみに、この財産には、当然不動産以外の「動産」も含まれます。

「動産」とは預貯金や貴金属などが一般的ですが、場合によっては美術品や骨董品、車なども売却するなどして分配することもあります。すべての財産分配が完了したら、各税金の精算です。相続税については、前述の「更正請求」を行いますが、この請求は財産が分割されたことを知った日の翌日から4ヶ月以内にしなければなりません。

そして最後に、相続人代表者が「譲渡所得税の申告」を行うこととなります。

「相続放棄」の注意点

前述で相続放棄について触れましたが、もし「団体信用生命保険」に加入していなかったため、債務が残ってしまったらどうするか。この場合の選択肢は、①「残債がある不動産」を残債も含めて相続する、②残債も不動産も相続しない、のいずれかになります。

売却によって残債を相殺できれば、①を選ぶでしょうし、できなければ②を選ぶでしょう。どちらでも構いませんが、②を選んだ場合、前述の「動産」の相続権も放棄しなければならなくなります。残債と売却査定額、他の動産も含め総合的に判断して決めるようにしましょう。